デジタルウェルビーイングの
法人・官公庁・自治体向けサービス
ウェルビーイングとは「身体的・精神的・社会的にも良好な状態」という身体的な健康よりも広い概念を指す言葉です。現代では、デジタル技術が飛躍的に進歩し、パソコン、スマートフォン、タブレットといったデジタル端末やオンラインサービスが私たちの生活に不可欠なものとなっています。
このような環境において、身体的、精神的、社会的にも良好な状態を保ちながら、デジタル技術を利用することが「デジタルウェルビーイング(Digital Well-being)」です。
デジタル端末は、いつでもどこでも好きなときに使えてとても便利なものです。デジタルは、私たちの生活や仕事、学校生活のいたるところに組み込まれ、人と情報にいつでも気軽にアクセスできる快適なライフスタイルを実現しています。
私たちは豊かで便利なデジタル社会に生きていますが、本当に幸せを感じられているでしょうか。
インターネット依存、SNS疲れ、ゲームの高額課金、ネットいじめ・誹謗中傷などさまざま問題も実際に生じています。
ウェルビーイングとは「身体的・精神的・社会的にも良好な状態」と定義されていますが、デジタル社会においては、今までより運動不足になったり、SNSが気になって不安になったり、孤独を感じたりもします。このようにデジタルが発達し、充実することは快適さや利便性をもたらしますが、必ずしも「幸せ」や「ウェルビーイング」とは結びついていないこともあります。
そこで、心も体も健康で満たされた状態、人と人とがより良い関係を維持しながら、デジタルとうまく付き合っていくことが、これからの社会ではますます求められると考えます。
デジタルウェルビーイングの実現を目指すことによって、デジタルとのより良い関係を構築することができるでしょう。
インターネットの普及が始まったのは1990年代です。そこから、ほとんど全ての人がスマートフォンやタブレットを当たり前のように利用するまではあっという間の出来事でした。いまや赤ちゃんまでもがベビーカーでスマホを操る様子も見られます。
デジタルの発展と浸透は急速で、その進化のスピードはすさまじいものがあります。
その一方で、実は人類は狩猟採集の時代から基本的にはほとんど変化していないと言われています。[1] 狩猟採集の時代では、人々は食べられる植物を採集し、野生動物を狩っていました。そして、高い確率で出産時や感染症、争いなどによって子どもが死んでしまい、平均寿命は30歳前後でした。生き延びるためには飢えや動物からの攻撃、感染症などさまざまな脅威を乗り越える必要がありました。
今から約1万年前に、農耕という大きな変化が訪れます。次第に移動しながらの生活から畑を耕すライフスタイルに変わります。食べ物の確保に時間を割く必要がなくなると技術が発達し、複雑な社会が構築されていきます。
その後、工業化が始まり、デジタル化と社会はまたたくまに変化していきます。
このように人類の歴史を振り返ってみると、デジタル化が占める割合は歴史全体のほんのわずかでしかないのです。人類の歴史においていまだに狩猟採集の時代がほとんどを占めています。
生物において「種」に大きな変化が生じるには何万年、何十万年とかかるものです。一見、デジタルを使いこなしているように見えても、人類がデジタル化した社会に真に適応するにはあまりに期間が短いといえます。
現にデジタルの利用が必要ないときにも人は無意識のうちに端末に手を伸ばし、デジタルに気をとられ、現実の生活がおろそかになってしまうことがあります。私たちは1日に約2600回もスマートフォンをタップしたりスワイプしたりし[2]、1日に約3時間インターネットに時間を費やしています。特に、10代〜20代の若者は平均で約4〜5時間をインターネットを使用していることがわかっています[3,4]。
デジタルを絶え間なく使用するために、仕事や学業よりも、不必要なスクリーンタイムに没頭してしまい、依存症に至ってしまうことも多くの研究で報告されています。睡眠不足による学業成績や気力や集中力の低下が生じ、それがさらにストレスの多いライフスタイルに拍車をかけてしまいます。
デジタルの使用と子どものウェルビーイングの関係は研究によって明らかにされつつあります。過度の利用は子どもたちの心身の健康や社会生活といったウェルビーイングに関連する要因に悪影響を与える可能性があります[5,6]。いつでも友人や仲間とオンラインで繋がれることは安心感をもたらしますが、仲間と連絡を取らなければならないというプレッシャーにもなったり、過度の使用がとめられなくなったり、全体的な気分や幸福感の低下につながったりすることが報告されています。
若者を中心としてデジタルの利用が人々の健康や幸福度の低下に悪影響を及ぼすことが社会的な課題であり、この課題を解決するためのアイディアや取組が必要です。
そこで私たちは、心理学の知見からこの課題の解決に貢献します。
バランスのとれたデジタルの使用は、人々に悪影響を与えないことが研究で示唆されています。しかし、過度または不適切な使用は、睡眠不足、意欲や気力の低下、学業成績の低下、心理的幸福感の変化、引きこもり、ネガティブな思考パターン、生活満足度の低下などの悪影響をもたらす可能性があります。また、デジタル技術の使用は、長期的な生活満足度よりも、短期的なポジティブまたはネガティブな感情に影響を与える可能性が高いともいわれます。
人々がデジタルの使用方法についてどの程度セルフコントロールできているかという観点を重要視する研究者もいます。
特にその人個人にとって「こうでありたい」「こうしたい」という長期的な目標にデジタルの使用を合わせることができているかどうかということを重視するというものです。
ウェルビーイングに寄与する健康的なデジタルの利用とはどういうことなのか考えると、「その人それぞれがどのような生活を送りたいのかを自覚し、その中でデジタルの利点と悪影響のバランスをとりながらデジタルを利用する」ということが重要な要素になるでしょう。
引用・参考文献
[1] アンデシュ・ハンセン(2022)ストレス脳 新潮新書
[2] Putting a finger on our phone obsession. (2016).https://dscout.com/people-nerds/mobile-touches
[3] 総務省(2021)情報通信白書令和3年度版
[4] 内閣府(2023)⻘少年のインターネット利⽤環境実態調査
[5] Dienlin, T. & Johannes, N. (2020). The impact of digital technology use on adolescent well-being . Dialogues Clin Neurosci, 22, 135-42.
[6] Bohnert, M. & Gracia, P. (2023). Digital use and socioeconomic inequalities in adolescent well-being: Longitudinal evidence on socioemotional and educational outcomes. Journal of Adolescence, 95(6), 1179-1194.
[7] Thomas, N. Choudhari, S. Gaidhane, A. & Quazi S. (2022). ‘Digital Wellbeing’: The Need of the Hour in Today’s Digitalized and Technology Driven World! Cureus, 14(8), e27743.
Digiwell ができる支援
01
ユーザーがより健康的に使えるような、サービス、アプリやゲーム等、コンテンツ開発のアドバイザリー等
02
eスポーツ大会や、チーム、教育機関での健全利用やメンタルヘルスのための講演やサポート
03
SNSやゲームや動画アプリを活用する企業のCSR活動等の支援
04
社員が健康的かつ生産性高くデジタルを使用し、テレワークをするための仕組み作りや研修等の支援
05
官公庁のデジタル安全利用の施策や公共サービスについての支援
06
地方自治体における市民へのネット安全利用の講演や調査、予防知識普及の施策の支援